(愛知産業大学短期大学キャンパス)

小学校の英語活動について(1)第二言語習得と(2)脳の発達の立場から述べなさい。



人は生まれながらにして「言語習得機能」が備わっているとされます④。このプログラムのお陰で、歩き出すようになるのと同じように、ほぼ同じ時期に喃語、二語文が現れ、言葉が発達してゆくといわれている。(生得説)

言語の習得は、行動主義においては「刺激―反応」で説明される。いわゆるパブロフの犬のように、言語の型を何度も模倣したり、反復したりすることによって、過剰学習の域に達し、無意識の習慣として自動化する。
                     
家族4人が外国にわたって、どのように言葉を其々がマスターして行くかの例からも、第二言語習得において年齢の要因がいかに大きな影響を与えるかがわかる。言語はだれもが一定のプログラムにしたがって段階的に習得して行くが、12歳くらいに一つの「臨界期」があると考えられている。(最近では「敏感期」が変わって用いられるようになっている①)
 
カナダの脳生理学者ペンフィールドは、言語習得には「生物的時間帯」があり、第2言語習得の「最適期」は母語能力の出来上がる4歳~8歳までだとしている。①②

「子どもの脳はやわらかい」「吸収性に富んでいる」と良く聞かれるが、これは脳科学の視点からヘンシュの考察がある。"強い感受性をもつ「感受性期」とも言える子供の脳では、「機能的可塑性」と「形態的可塑性」の両方が高く、入力される情報に対して脳細胞が常に敏感に反応し、神経回路の組み替えが活発に起きている。これは、臨界期内だからこそ発揮される"とされ、これは特別なものであるといわれている。
     
すなわち、「神経細胞レベルの臨界期」内に言語習得を行えるなら、より効果的であると考えることができる。 

「敏感期」説に従い、小学校から外国語習得を開始している国はますます多くなっている。わが国では、2002年度から実施されている①。(2011年度からは、5,6年生から実施される。)

臨界期については、ローレンツの「刷り込み」の例が、一般に良く知られている。英語教育においては、言語習得の臨界期を10代初めとするレネパークの説も有名である。 

第二言語習得における子供の学習能力の高さについては垣田他(1907)も主張している。が一方では、クラッシェン、鈴木、東等は必ずしも期待はできないと述べている。②

「習得は期間限定」という臨界期の考え方は、母国語習得には当てはまるにしても、第二言語に関しては当てはまるとは限らない。③④       


しかし、英語を音声を基本としたコミュニケーションの簡単から考えた場合、児童の学習特性である(ア)イントネーションを含めた音への注意力、外国語をも言語活動ととらえる姿勢、(ウ)周囲とのコミュニケーション・言語活動そのものが認知発達・学習の動機・手段・目的となり得ることは、それらを外国語学習に活用できる時期であれば、外国語を導入するメリットとして働く可能性は大いにあれ売ると述べている③

クラッシュンは、第二言語習得を「学習」と「獲得」に分けて考え、「獲得」は母語と同じ「無意識的な言語処理」によって、「学習」は、「意識的な言語処理」によって行われるとした。つまり、言語の学習は、「獲得」とは異なり、学習した言語を運用する際には「意識的な処理」が必要だとしている。

グリーンフィールドによると。人が特定の技能を習得する場合、その過程で「意識的な処理」から「無意識的な処理」へと移行するとしている。この「意識から無意識への流れ」は言語習得にも通じるものと考えられ、クラッシェンとは異なり、学習と獲得の間には接点が存在するとしている。 

「学習」から「獲得」への移行を促すためには、指導の仕方が重要な役割を担う。それには、子供の能力として、言葉の規則性に気づく「パターン知覚能力」があるので、英語の規則性をゲームや歌に取り入れたり、意味に気付かせるような工夫を指導者が行うことが、この能力を引き出しやすくする。
                     
脳においては、言語の形式と意味は別の神経回路で処理されこの二つをつなぐ媒介を通じて、瞬時に統合されている
 
小学校で英語を教えるに当たっては、身近な経験等を利用して、まずは意味を理解させたうえで、形式(音声や文字)を意味と合わせて指導するように工夫することが必要である。

記憶に結び付きやすい学習方法について、神経科学の観点から考察した水江の研究の要点では、

① 覚えたいことに興味を持つ。
② 感情を伴って覚える。
③ 字章を関係づけて覚える。

が挙げられている。



早期外国語教育の利点は、

1・母語に対するメタ言語能力、認知処理能力が優れている。
2・母国語、算数、社会科の能力に優れている。
3・異文化理解能力が優れている。
4・外国語習得へのより積極的な態度が顕著である。

文献
① 伊藤克利、脳の発達・機能と第2言語習得。
            神奈川大学言語研究26(2004)
② 大石文朗、第二言語習得における開始年齢に関する研究(その1)
             愛知江南短期大学紀要、35(2006)、
③ 長谷川信子、「小学校での英語教育」反対論検証、神田外語大学、2005
④ (新英語教育、  米原幸大、大学教育出版(2008)
⑤ 認知的アプローチによる外国語教育 竹内 理、松柏 庄(2000)

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